
クラウドの請求額が、事業の伸びより速く増えていませんか。サービスが育ち、開発環境が増え、生成AIの機能も加わる。どれも理由があって増えていますが、気づくと月の請求が予算を超えていることがあります。
この記事では、クラウドコストが高くなる原因と、費用を下げる3つの方法(請求代行・割引プラン・構成の見直し)を解説します。社内での進め方や、外部に依頼する場合の費用もあわせてご紹介します。
株式会社DELTA のクラウドコスト削減サービス「CTO Booster」では、200社以上(2026年9月時点)のクラウドコストを診断してきました。自社のクラウド費用をどこでどれだけ下げられるか、まずは無料診断でお確かめください。
クラウドコストが高くなる原因
クラウドは使った分だけ払う仕組みのため、使い方を見直さずにいると、不要な費用も毎月かかり続けます。費用が高くなる原因として多いのは、次の5つです。
未使用リソースの放置
コスト削減で最初に手を付けたいのが、使われていないリソースの費用です。
検証のために立てたサーバー、どこにもつながっていないディスク、古いバックアップ、割り当てたまま使っていない IP アドレスなどは、1つ1つは小さな額でも、止めるか消すまで毎月請求されます。作成した担当者が異動すると、用途が分からず消せないまま残りがちです。
株式会社DELTA が支援した事例でも、こうした無駄は多く見つかっています。
- 株式会社MICIN様
不要なリソースが、複数の AWS アカウントに重複して残っていました。整理などにより、年間約200万円弱を削減しています。 - オーテ株式会社様
データベースのバックアップを複数の方式で取っており、長年の運用でその費用がふくらんでいました。整理などにより、月額約10%を削減しています。
まずは請求の明細から削減できそうな項目を探し、使用率の確認や担当者へのヒアリングで本当に不要かを確かめてから整理します。
負荷に対するインスタンスのスペック過剰
負荷に比べて大きすぎるインスタンスは、サイズを合わせるだけで費用が下がります。
インスタンスとは、クラウド上で借りているサーバーのことです。導入時に余裕を見て選んだサイズが、何年もそのままになっていることがあります。ふだんの使用率が低いのに大きなサイズを借りていると、使っていない分まで払うことになります。
- ピクシブ株式会社様
Amazon ECS(Fargate)で確保していたリソースが大きすぎました。適切なサイズに変え、時間あたりの費用を40%強下げています。 - 株式会社Beer and Tech様
メトリクスを調べると、性能の足を引っ張っていたのはサーバー(EC2)ではなくデータベースの側でした。EC2 のインスタンスタイプを変え、ほかの施策とあわせて月額約1,450ドルを下げています。
どれくらい余っているかは、CPU やメモリの使用率の記録(メトリクス)で確かめられます。数週間から数か月分の記録を見て、いちばん負荷が高い時間にも耐えられる範囲で小さくします。
割引プランの未適用(オンデマンド課金の継続)
24時間動き続ける本番のサーバーやデータベースは、割引プランを使えば同じ構成のまま単価が下がります。
割引プランは、1年または3年の利用を契約する代わりに、単価を下げる仕組みです。AWS の Savings Plans とリザーブドインスタンス、Google Cloud の確約利用割引、Azure の予約がこれにあたります。定価(オンデマンド)のまま払い続けていると、割引で下がるはずの分を払いすぎていることになります。ただし、契約期間中は使わなくても支払う必要があります。
すでに割引プランを細かく管理している会社では、割引プランの外にある費用に目を向けます。株式会社オークファン様は、EC2 と割引プランをすでに細かく管理していました。そこで、サービスの規模に比べて高くなっていた S3 を中心に見直し、月額約80万円を下げています。
構成を見直す予定があるなら、見直しを先に済ませてから契約するほうが安全です。
費用内訳の未把握
費用の内訳が見えないと、下げる場所を選べず、削減の効果も確かめられません。
請求書の合計額は分かっても、どのサービスの、どの機能で、どれだけ使っているかまでは分からないことがよくあります。内訳を分けるには、サーバーなどのリソースに「本番」「開発」「どのプロダクトか」といった目印(タグ)を付けて集計します。タグのないリソースが多いほど、誰の費用かが分からないまま残ります。
株式会社Stack様の「SQ」の支援では、各リソースを1日あたりの費用まで分け、設計したときの想定と現在の使用状況を照らし合わせました。月額約55万円の削減につながっています。
請求の明細は、システムの構成図と見比べながら、「サービス→費用の項目→個々のリソース」の順に、大きな単位から読みます。こうすると、構成図に載っていないのに費用が出ているものが見つかります。
生成AI・LLM の利用料の見積もりの難しさ
新たに請求に加わりつつある生成AIの利用料は、同じ機能でも使われ方で費用が大きく変わるため、見積もりが難しい費用です。
対象は、Amazon Bedrock、Google Cloud の Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)、Azure OpenAI などです。これらで大規模言語モデル(LLM)を呼び出すと、多くの場合、入力と出力のトークン数で料金が決まります。トークンは、文章を細かく区切った単位です。文字数が多いほど、トークン数もおおむね増えます。
長い指示文(プロンプト)を毎回送る設計や、会話の履歴をすべて送り直す設計では、利用者が増えるほど費用がふくらみます。
クラウドコスト削減の実績
各社の削減額・期間・自社の稼働
株式会社DELTA の公開事例で、いちばん多かった施策は、使っていないリソースと設定の整理でした。行った施策と会社は次のとおりです。

社内で一度コストカットを実施した会社でもこうした無駄は見つかっています。
株式会社ジモティー様は、利用者が増えるなかでインフラ費用の最適化が経営の課題になり、CTO Booster を導入しました。株式会社DELTA はデータ量と通信量に絞り、ログデータを整理して本当に必要なデータだけを残し、通信量も見直しました。削除候補のデータを一覧にし、調査の手間と削減額を並べて、株式会社ジモティー様が意思決定できるよう支援いたしました。
結果、無料診断で提示した月額約200万円の削減に成功しました。インフラの構成変更など手間のかかる作業を株式会社DELTA が担い、社内のエンジニアの作業時間も節約できています。
株式会社favy様(AWSサーバー代 約38%の削減を見込む)
飲食店向けのクラウド型サービスなどを運営する株式会社favy様は、サービスの成長期にインフラ費用を見直したいと考えながらも、日々の開発に手を取られて着手できていませんでした。
株式会社DELTA は数か月分のメトリクスをもとに、実際の使い方と今後の運用をふまえて、大きくなりすぎていたリソースを「減らしすぎず、余らせすぎない」サイズに調整しました。結果として、AWS のサーバー代は月間約38%の削減を見込んでいます。
クラウドコスト削減の3つの方法(請求代行・割引プラン・構成の見直し)
クラウドの費用を下げる方法は、大きく3つに分けられます。組み合わせると、効果の最大化が期待できます。
- 請求代行
クラウドの契約を、請求代行(リセラー)を通す形に付け替え、利用料の割引を受ける方法です。構成は変えません。 - 割引プラン
1年または3年の利用を契約して、単価を下げる方法です。 - 構成の見直し
使っていないものを止める、サイズを合わせる、仕組み(アーキテクチャ)を組み替えるなど、使い方そのものを変える方法です。
3つの方法の比較(削減幅・自社の稼働・停止リスク・効果が出るまでの期間)
すぐに始められるのは請求代行ですが、割引プラン、構成の見直しと併用することで効果が期待できます。

割引プランは、使用量の見通しが立っていることが前提です。構成の見直しは手間がかかりますが、インフラだけでなくアプリケーションの作りまで見直すと、請求代行や割引プランを使った後でも、さらに削減余地が見つかることがあります。株式会社DELTA の CTO Booster では、構成の見直しに加え、割引プラン(リザーブドインスタンス・Savings Plans)の購入にも対応しています。
アプリケーションまで見直した例として、ピクシブ株式会社様では、API が返すデータの中身を見直してレスポンスを60%程度小さくし、ECS のサイズの見直しなどとあわせて月額約5,000ドル(約70万円)を削減しました。
実施する順序
使っていないものを止め、適正な使用サイズにした上で、割引プランを使う順番が、一般的な進め方です。
- 使っていないリソースを止める・消す。
- サイズや構成を見直す。
- 割引プランを使う。
- 請求代行で契約を付け替える。(順番は1〜3と並行でも構いません)
2と3を逆にすると、サイズを下げたときに契約した額を使い切れず、かえって無駄が生まれることがあります。不要なリソースを削減することが、最も確実な削減につながります。
クラウドコスト削減とコスト最適化の違い
クラウドコスト削減は、請求額を下げることそのものを指します。クラウドコスト最適化とは、事業の目的に合うインフラ構成に設計し直し、費用を事業に見合った額に保ち続けることです。
たとえば、使っていないサーバーを止めるのは削減です。利用者が増える時期にサーバーを増やすのは、請求額が上がっても、事業に見合った額であれば最適化にあたります。下げることだけを目標にすると、必要な余裕まで削って障害を招くことがあります。
クラウドコスト削減を進める体制と役割分担
クラウドの費用は、使う人と払う人が分かれています。構成を決めるのはエンジニアで、請求書を受け取るのは財務経理というケースがあります。
経営・財務経理・開発で見る指標の違い
同じクラウドの費用でも、立場によって見ている数字が違います。

削減を進めるときは、開発が見る使用量の変化を、財務経理が見る請求額と、経営が見る PL の数字に置き換えて伝えることが大切です。インフラが専門でない決裁者には、専門用語を言い換え、判断の論点を適切に共有することが必要です。外部に依頼する場合は、こうした橋渡し役を担えるかどうかも確認する必要があります。
開発を停止せずに進める手順
読み取り権限での調査から始め、開発環境で試してから本番を変える手順なら、新しい機能の開発を止めずに進められます。
「コスト削減に手を取られて、開発が止まるのではないか」という不安の声は、現場からよく挙がります。対策となる手順は次のとおりです。
- 調査は読み取り権限だけで調べる。請求と構成、使用量の記録を読むだけなので、動いているサービスには触れません。
- 候補を一覧にして、削減額・作業の手間・影響の大きさを並べる。どれから手を付けるかを、数字で意思決定できる形にします。
- 開発環境でまずは試す。本番と同じ変更を開発環境で行い、動作を確かめます。
- 本番は、手順と戻し方を決めてお客様の承認をいただいてから、利用者の少ない時間に切り替えます。月末の処理など負荷の高い時期は避けます。
- 変更前後の請求額を比べて、効果を確かめる。
月次運用と経営への報告
一度コストを下げても、サービスが変われば費用はまた変動します。毎月決まった形でレポートを見て、経営陣に報告するサイクルを作っておくと、費用が増え始めたときにすぐ気づけます。
月次で確認する3つの指標
毎月見る数字は、次の3つがポイントです。
- 請求額と予算との差
予算を超えていないか、超えそうか。 - 前月から増えた上位のサービス
増えた理由を担当者が説明できるか。 - 1件あたりの費用
1取引や1ユーザーあたりの費用が、下がっているか。
3つ目の「1件あたりの費用」は、事業が伸びて総額が増えているときに特に役立ちます。総額が増えていても、1件あたりが下がっていれば、費用の使い方は良くなっていると説明できます。
額を円とドルのどちらで見るかも決めておきます。面白法人カヤック様は、ドル建ての削減目標は達成していましたが、記録的な円安の影響で、円建ての目標には届いていませんでした。そこから株式会社DELTA の支援で、さらに月額約5%を削減しています。
経営会議に出す資料の項目
経営会議に出す資料は、次の5つを1枚にまとめるのが目安です。
- 当月の請求額と、予算・前月との差
- コストが増えた理由(上位3つまで)
- 当月に実施した削減と、その効果(月額)
- 来月以降に予定している施策と、見込みの削減額
- 意思決定が必要な点(割引プランの購入額、外部への依頼など)
毎月の報告から次の施策を決定するサイクルは、FinOps の3つのフェーズ(Inform・Optimize・Operate)にあたります。
自社で進める場合と外部に依頼する場合
社内に手を動かす人がいて、本番の変更を判断できる体制があれば、自社で進められます。どちらかが欠けているなら、外部に依頼したほうが早く進みます。
自社で行う場合に必要な人員と期間
自社で進めるには、インフラの担当エンジニアと、本番の変更を決める責任者が欠かせません。必要な人員は次のとおりです。
- インフラ担当エンジニア
調査、変更の設計、作業、確認を担う(1〜2名) - アプリケーションの担当エンジニア
ログの量やデータベースの使い方など、コード側の無駄を調べて直す(必要に応じて1名) - 判断する責任者
本番の変更と割引プランの購入を決める(CTO・情報システム責任者など)
期間は、使っていないリソースの整理なら数日から数週間、サイズの見直しは記録を見る期間を含めて1〜2か月、構成の組み替えは数か月が目安です。多くの会社では、この人員を新しい機能の開発から割くことが、大きな負担になります。
開発に人員を割けない場合は、作業まで外部に任せる方法があります。
外部に依頼する場合の費用
外部への依頼には主に3種類あり、料金形態がそれぞれ違います。

株式会社DELTA の CTO Booster は、作業まで代行する形のサービスです。料金は完全成果報酬で、調査や改善案づくりの工数に費用はかかりません。施策の完了後、クラウド事業者の請求から削減額を算出し、その額に応じて報酬が決まります。施策の完了から2年間は、株式会社DELTA のエンジニアが依頼した会社のチャットツールに入り、ご質問やご相談に対応いたします。
依頼時に必要な準備
CTO Booster の無料診断で依頼側が用意するのは、クラウド環境とソースコードを読み取るための権限を持つアカウントです。読み取り権限だけなので、診断の段階で環境が変わることはありません。このアカウントをもとに、株式会社DELTA が削減の余地を見積もります。
CTO Booster では、提案までは読み取り専用の権限をお渡しいただくだけで進みます。
AWS・Google Cloud・Azure 別のコスト削減方法
3つのクラウドとも、割引プラン、費用を見るツール、削減の候補を示すツール、予算を超えそうなときに知らせる機能がそろっています。
3クラウドの比較表


※AWS、Google Cloud、Microsoft Azureそれぞれの解説記事もあわせてご確認ください。
世界シェアは Synergy Research Group の発表(2026年7月30日)による、IaaS・PaaS などクラウドインフラサービスの売上シェアです。Azure の欄は、Microsoft として発表された数字です。ただし、各クラウドの削減の候補を示す機能の多くは候補を示すところまでです(一部には推奨を自動で適用する機能もあります)。何を実行するかの判断と、本番への影響の確認には人的な判断が必要です。
複数のクラウドを使っている場合(マルチクラウド)は、まず月の請求額をクラウド別・サービス別に1つの表にまとめ、金額の大きいクラウドから手を付けます。
クラウドコスト削減のよくある質問
Q. 何から始めればよいですか?
請求額の上位10項目を並べ、使っていないリソースを止めることから始めます。あわせて予算の監視通知を設定しておくと、費用が増えたときに早期に気がつきます。
Q. 請求代行を使っていても、まだ下げる余地はありますか?
あります。請求代行は契約の付け替えで、構成は変わりません。CTO Booster はアプリケーションの作りまで分析するため、請求代行や運用支援をすでに契約していても、併用してさらに下げられる余地がないかを診断します。
Q. Google Cloud や Azure も対象になりますか?
CTO Booster は AWS に加えて、Google Cloud と Azure にも対応しています。まず無料診断で、削減余地を見積もります。
Q. コスト削減の作業で、サービスが止まることはありませんか?
調査段階は読み取り権限だけで行うため、サービスには影響しません。本番の変更は、検証環境や開発環境で確かめたうえで、手順と戻し方(リカバリの方法)を決め、お客様にレビューと承認をいただいてから行います。
自社のクラウド費用をどこでどれだけ下げられるか、まずは無料診断でお確かめください。
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