社内問い合わせへの対応は、多くの企業で日常的に発生する業務です。しかし、同じような質問に繰り返し対応するケースも多く、業務効率に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、従業員にとっても、情報を得るために担当部門に都度確認を取ることは、手間と時間がかかります。
こうした課題を解決する方法の一つとして、社内情報へのアクセスを自動化するBotの活用が挙げられます。
株式会社DELTAでは、セブンリッチグループを対象に、認証が必要な社内サイトから情報を自動で取得できるシステムを開発しました。本記事では、その具体的な仕組みと活用事例を紹介します。
1. 社内規則に関する内容を回答できるシステムを開発
株式会社DELTAは、セブンリッチグループからの委託を受け、社内規則に関する内容を自然言語で問い合わせできるシステムを開発しました。
セブンリッチグループでは、社内規則はGoogle Siteにまとめられており、閲覧権限はグループ社員に限定されています。
しかし、通常のスクレイピングBot(Webサイトの情報を自動で収集・抽出する仕組み)では、認証が必要なサイトへのアクセス権限がないため、情報の取得が困難でした。
この課題に対して、Botが必要な情報を自動で取得し、社内対応に活用できる仕組みを導入しました。これにより、従来の仕組みでは対応できなかった認証付きサイトから情報を取得できるようになっています。
2.認証が必要なサイトでもBotが自動でデータ収集可能
本事例では、前述したように、Botが認証済みのブラウザを自動で操作し、対象サイトから情報を収集・抽出する仕組みを構築しています。取得した情報は、そのままデータベースに自動で格納されます。セキュリティリスクを抑えながら、安定した情報収集が可能です。
具体的には、初回のみ手動でログイン作業を行い、その後は保存された認証情報を活用して自動でログイン処理を行います。これにより、毎回の手動でのログイン操作を省き、認証付きサイトへの対応を省力化しています。
さらに、社内ポータルの情報をもとにRAG(データベースから関連性の高い情報を取得し、内容を踏まえた上で回答を生成する仕組み)環境を構築しました。従業員はBotを通じて、必要な情報を即時に確認できるようになっています。
たとえば、営業担当者が申請手順や社内規定を部門に都度確認せずとも、必要な情報を即時取得できるようになります。問い合わせに対応する担当者と、情報を求める従業員の双方にとって、業務負担の軽減が見込まれるでしょう。
(このように知りたいことを入力できるようになっております)
3.今後の展開:BotとSlack連携により問い合わせ業務を自動化
社内情報サイトが整備されていても、実際には従業員が情報を確認せず、担当者に直接質問してしまうケースが多く見受けられます。
また、ChatGPTなどのAIツールも、別サイトを開いたり結果をコピー&ペーストする必要があり、定着しづらいのが現状です。
今回構築した仕組みにより、Googleサイトだけでなく、社内チャットツールやその他のSaaSからも情報を取得できるRAG環境が整備可能になりました。
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