【今すぐ実践!】Google Cloudのコスト削減ガイド

【今すぐ実践!】Google Cloudのコスト削減ガイド

はじめに

 クラウドサービスの主要プレイヤーの一つであるGoogle Cloud(旧 Google Cloud Platform / GCP)は、多くの企業にとって不可欠なインフラストラクチャとなっています。その革新的な機能とスケーラビリティは、ビジネスの成長を支える強力な武器となりますが、適切な管理と運用を行わないと、予期せぬコスト増加を招くリスクがあります。本ガイドでは、Google Cloudを利用する企業が直面するコスト管理の課題と、その具体的な解決策について詳しく解説します。


なぜいまコスト削減が重要か

 Google Cloudは従量課金制を採用しており、利用した分だけ料金を支払う仕組みです。この課金モデルは初期投資を抑えられる点で優れていますが、同時にリソースの使用量管理が不適切な場合、想定以上のコストが発生するリスクも内包しています。 

 また、今日の日本市場においては円安の進行がコスト高騰に拍車をかけているという現実も無視できません。Google Cloudの料金は米ドル建てで設定されているため、円安の進行は日本企業にとって実質的なコスト増加要因となります。過去数年の為替動向を見ると、かつては許容範囲内だった利用料金が、現在では大幅に増加しているケースも少なくありません。このような外部環境の変化に対応するため、より戦略的なコスト管理の重要性が高まっています。

コスト最適化のための基本戦略

 効果的なコスト削減を実現するためには、まず現状の利用状況を正確に把握することが不可欠です。Google Cloudは利用状況の分析に役立つ様々なツールを提供しています。Cloud Billing consoleやCloud Billing Reportsなどのコスト管理ツールを活用することで、サービスごとの利用料金や使用パターンを詳細に分析することが可能です。これらのツールを用いて、不要なリソースや過剰なコストが発生している部分を特定し、最適化の方向性を決定します。

・Cloud Billing console

 Cloud Billing consoleは、Google Cloudの請求、コスト、使用状況を包括的に管理するためのサービスです。 主な機能は以下の通りです:

  • 請求ダッシュボードでの使用状況や請求明細の把握
  • 支払い方法の設定や請求書のダウンロードなどの支払い管理
  • IAMやCloud Billingアカウントなどの設定でアカウント管理
Cloud Billing consoleの画面

・Cloud Billing Reports

 Cloud Billing ReportsはGoogle Cloudのコストと使用状況を分析・可視化するためのツールです。 主な特徴は以下の通りです:

主な特徴は以下の通りです。

  • プロジェクト別、サービス別、SKU別などの詳細なコスト内訳を様々なグラフや表形式で表示可能
  • 時系列でのコスト推移や、カスタマイズ可能なフィルターとグループ化オプションによる詳細な分析
Cloud Billing Reportsの画面

具体的なコスト削減方法

 Google Cloudでコスト削減を実現するためには、現状の使用状況を把握し、必要に応じた最適化を行うことが重要です。以下に、実際に使える具体的な手法を紹介します。

・不要なリソースの削除

 Google Cloudでコスト削減を実現するためには、現状の使用状況を把握し、必要に応じた最適化を行うことが重要です。以下に、実際に使える具体的な手法を紹介します。代表的な対象領域と削減対象は以下の通りです。

  • Cloud Logging
    • 不要なログ
  • Cloud Storage
    • テスト用データ
    • 古いバックアップ
  • 永続ディスク
    • 未アタッチのディスク
    • 古いディスクのスナップショット
  • Cloud SQL
    • 未使用DBをバックアップ取得後削除し、起動時間分のコストを節約
    • 過去の手動バックアップ
    • バックアップの保存期間の見直し

・インスタンスの柔軟な変更と停止

 Google Cloudでは、Compute Engineインスタンスの種類やサイズを必要に応じて変更することができます。システムの負荷が低い深夜時間帯にインスタンスのサイズを縮小したり、開発環境で使用していない時間帯のインスタンスを停止したりすることで、大幅なコスト削減が可能です。

・Committed Use Discountsの活用

 長期的な使用が見込まれるリソースについては、Committed Use Discounts(CUD)の活用を検討すべきです。CUDは1年または3年の期間で契約する必要がありますが、オンデマンドに比べて最大70%の割引が適用されます。特に、本番環境など、安定した稼働が見込まれるワークロードに対しては、大きなコストメリットが得られます。

Sustained Use Discountsの活用

 Google Cloudでは、Compute Engineインスタンスを長時間使用すると自動的に割引が適用されるSustained Use Discounts(SUD)を提供しています。月の使用時間が長くなるほど割引率が上がり、最大30%の割引を受けることができます。

実装のためのステップバイステップガイド

効果的なコスト最適化を実現するために、以下のような段階的なアプローチを推奨します。

1. 現状のコスト分析と目標設定

 第一段階として、Cloud Billing Reportsなどのコスト管理ツールを用いて、現状のコスト分析を徹底的に行います。過去数ヶ月分の利用状況を詳細に分析し、コストの主要な発生源と変動パターンを把握します。この分析結果に基づいて、最適化が必要な領域を特定します。

 また、現状からどれくらい削減したいのか、それはなぜか、という現状分析や目標設定を立てます。小さい施策を積み上げるだけでいいのか、大胆にアーキテクチャの見直しをする必要があるのか、方針も変わってくるからです。

2. 導入計画を立てる

 次に、具体的な最適化計画を策定します。インスタンスの使用状況やワークロードの特性を考慮しながら、どのような施策をどの順序で実施するかを決定します。この際、ビジネスへの影響を最小限に抑えることを念頭に置き、段階的な導入計画を立てることが重要です。

3. 実装

 実装フェーズでは、まず小規模な変更から開始し、その効果を確認しながら徐々に範囲を拡大していきます。Cloud Monitoringやログ分析の導入、自動化ツールの活用も、この段階で検討すべき重要な要素です。


まとめ

 Google Cloudのコスト最適化は、単なるコスト削減ではなく、ビジネスの持続的な成長を支える重要な経営課題です。本ガイドで紹介した様々な施策を計画的に実施することで、効率的なクラウド運用を実現することができます。特に、為替変動などの外部要因によるコスト増加が懸念される現在の環境下では、これらの取り組みがより一層重要性を増しています。

 定期的な見直しと改善を通じて、最適なコスト管理体制を確立し、競争力の維持・向上につなげていきましょう。適切な管理と戦略的な取り組みが、ビジネスの成長と収益性向上の鍵となります。


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