はじめに
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、AWSをはじめとするクラウドコンピューティングサービスの利用が急速に拡大しています。その一方で、多くの企業がクラウドコストの管理に課題を抱えています。本記事では、AWSのコスト管理について、可視化の重要性から具体的な運用方法まで、実践的なアプローチを解説します。特に、近年注目を集めているFinOpsの考え方を取り入れながら、効率的なコスト管理の実現方法について詳しく説明していきます。
AWSのコスト管理が大事な理由
クラウドコンピューティングサービスの中でも圧倒的なシェアを誇るAWSは、多くの企業にとって不可欠なクラウドインフラストラクチャとなっています。しかし、その従量課金制のビジネスモデルは、適切な管理を行わないと予期せぬコスト増加を招くリスクがあります。
特に日本市場においては、円安の進行がコスト高騰に拍車をかけているという現実があります。AWSの料金は米ドル建てで設定されているため、円安の進行は日本企業にとって実質的なコスト増加要因となっています。経済産業省の予測によると、巨大テック企業などへの利用料支払いによる「デジタル赤字」は2024年には6兆円を超え、2030年には約10兆円規模まで拡大すると見込まれています。
AWSのコスト管理・全体把握が難しい理由
AWS環境におけるコスト管理の難しさには、以下のような要因があります:
- クラウドコストの急増:
- デジタル化の加速によるクラウドサービス利用の爆発的増加
- 従来の予算管理手法では対応が困難
- 組織的な課題:
- クラウドリソースの利用が部門をまたがる形で拡大
- コスト管理の責任所在が不明確
- 予算管理体制の未整備
AWSのコストを可視化する必要性
コストの可視化は、効果的なAWS運用の基盤となります。FinOpsの原則に基づく可視化によって得られる主なメリットは:
- チームの協働促進:
- 財務、開発、運用、ビジネス部門の緊密な連携
- コストと利用状況の即時把握による迅速な意思決定
- 効率性と革新性の継続的な改善
- ビジネス価値に基づいた意思決定:
- コスト、品質、速度の間での適切なトレードオフ
- ユニット経済と価値ベースの指標による評価
- クラウドをイノベーションの推進力として活用
- 責任所有の明確化:
- エンジニアによるコスト所有権の確立
- コスト効率の高いアーキテクチャ設計
- 分散化された最適化の意思決定
AWSのコストを可視化して管理する方法
AWS環境でのコスト可視化と管理には、以下のツールと手法が効果的です:
AWS提供のツールの活用:
AWS Billing and Cost Management:
AWS Billing and Cost ManagementはAWSの請求、コスト、使用状況を包括的に管理するためのサービスです。主な機能は以下の通りです。
- 請求ダッシュボードで無料枠の使用状況や請求明細の把握
- 支払い方法の設定や請求書のDLなどの支払い管理
- IAMやOrganizationなどの設定でアカウント管理
AWS Cost Explorer:
AWS Cost ExplorerはAWSのコストと使用状況を分析・可視化するためのツールです。ユーザーインターフェースを利用したコストと使用状況の表示は無料です(APIを用いてプログラムからアクセスする際は1リクエストごとに$0.01の料金が発生します)。主な特徴は以下の通りです。
- サービス別、リージョン別、タグ別などの詳細なコスト内訳を様々なグラフや表形式で表示可能です。
- 時系列でのコスト推移や、カスタマイズ可能なフィルターとグループ化オプションで、コスト分析のための様々なユースケースに対応しています。
コスト最適化施策:
- Savings PlansやRIの活用による長期的コスト削減
- 未使用リソースの特定と削除
- アーキテクチャの最適化
- 自動化ツールの導入
AWSコスト削減を行う:【今すぐ実践!】AWSのコスト削減ガイド
FinOpsの実践:
FinOpsは、単なるコスト削減手法ではなく、クラウド時代における新しい財務管理の考え方です。組織全体でクラウドコストに対する意識を高め、ビジネス価値の最大化を目指す文化を醸成することが重要です:
- 専任チームの設置によるFinOpsの推進
- タグ付けによるコスト配分の明確化
- 予算アラートの設定
- 定期的なコストレビューの実施
- 継続的な改善サイクルの確立
FInOpsとは?:【組織で取り組むクラウドコスト最適化】FinOpsの原則と導入ステップ
まとめ
AWSのコスト管理は、単なるコスト削減ではなく、ビジネスの持続的な成長を支える重要な経営課題です。FinOpsの導入により、組織全体でクラウドコストに対する意識を高め、ビジネス価値の最大化を目指す文化を醸成することが重要です。
特に日本企業においては、従来の予算管理との整合性を図りながら、段階的にFinOpsを導入していくアプローチが有効でしょう。定期的な見直しと改善を通じて、最適なコスト管理体制を確立し、競争力の維持・向上につなげていくことが重要です。
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