2025.12.17
アーキテクチャ改善
わずか2ヶ月で、Docker化とシステムの安定稼働を実現。事業拡大に耐えうるアーキテクチャへ / ミラーフィット株式会社様

ミラーフィット株式会社が展開する女性専用フィットネス×美容サロン「HITORI WELLNESS」は、サービス開始当初から予想を上回るペースで成長を続けていました。しかしその裏側では、システムインフラの課題が顕在化していました。不安定なデプロイや原因不明のサーバー停止などが発生していたのです。そうした中、同社はDELTAにインフラ改善を依頼し、約2ヶ月でDocker化やシステムの安定稼働を実現しました。
本記事では、ミラーフィット株式会社 執行役員の舛永憲昭様、エンジニアの石毛完知様、そして株式会社DELTA エンジニアチームで本プロジェクトを担当した浜崎春哉とともに、短期間でのシステム改善を実現した取り組みを振り返ります。
急拡大の裏で浮き彫りになったインフラ課題
――まずは、貴社サービスについてご紹介をお願いします。
舛永:私たちは「MIRROR FIT.」というスマートミラーを使ったフィットネス事業を展開しています。一見すると普通の全身鏡なのですが、スイッチを入れるとモニターになり、鏡の中にトレーナーが現れてレッスンを受けられる仕組みです。ヨガ、ピラティス、筋トレ、ダンスなど多彩なコンテンツがあり、自分の姿を鏡に映しながら、プロの動きを真似てトレーニングができます。
――自宅にいながら、本格的な指導が受けられるのは魅力的ですね。
舛永:さらに、ミラーにはカメラが内蔵されており、AIがユーザーの動きを解析して「正しい姿勢でトレーニングできているか」を採点する機能もあります。また、消費カロリーや運動時間の記録は専用のモバイルアプリと連携し、日々の健康データを可視化することも可能です。
今回、DELTAさんにご助力いただいたのは、このミラーフィットのプロダクトを活用して展開している、女性専用フィットネス×美容サロン「HITORI WELLNESS」の予約管理システムの改善です。

ミラーフィット株式会社 執行役員 舛永憲昭様
――今回、DELTAにご依頼いただいたきっかけは何だったのでしょうか?
舛永:実は当初、DELTAさんには「インフラのコスト削減が得意な会社がある」という話を聞いて相談を持ちかけたんです。しかし、私たちのシステムの課題をヒアリングしてもらう中で、「今、優先すべきはコスト削減ではなく、サーバーの安定性」という話になりました。そこで、喫緊の課題であるインフラの改修をお願いする形になりました。
――当時は、どのようなシステムの課題があったのでしょうか?
石毛:もともとこのサービスは市場検証の意味合いもあり、スピードを優先してオフショア開発で作られたものでした。しかし、ありがたいことに予想以上にユーザー数が急成長し、当時のシステム基盤では耐えきれない状態になっていました。
特に深刻だったのが、月に1〜2回程度、原因不明のエラーでサーバーが停止してしまうことでした。しかも、システムがダウンしても検知ができない状態。「店舗のスタッフが毎朝、システムが動いているか目視で確認する」という運用でカバーしていました。
――大変な運用を続けられていたのですね。
石毛:開発者の苦労も多かったですね。各環境へのデプロイ時には認証アカウントをつど切り替える必要があるとか、デプロイ作業のたびに15分ほど拘束される、デプロイ直後に502エラーやCORSエラーが発生して数分間使えなくなるなどの問題がありました。
舛永:DELTAさんにご依頼した当時「HITORI WELLNESS」は5店舗ほどでしたが、2ヶ月後には8店舗へ増え、さらに年明けにかけて拡大することが確定していました。不安定なシステムのままでは、店舗運営が回らなくなるリスクがありました。
「2ヶ月」という制約の中で選んだ、現実的かつ確実な解
――今後のユーザー増加が確定している中でのご相談だったわけですね。これに対し、DELTAからはどのような提案を行ったのでしょうか?
浜崎:前提として、このシステムはもともとVM(仮想マシン)上で直接アプリケーションを動かしていました。原因不明のエラーやデプロイの不安定さを解消するために、「アプリケーションのDocker化」は必須だと判断しました。
技術的な理想を言えば、Google Kubernetes EngineやCloud Runといった、モダンなクラウドネイティブ環境へ移行し、TerraformなどでIaC(Infrastructure as Code)化まで実施するのがベストです。
しかし、今回は「2ヶ月後」という明確な期限がありました。そこで、新しい技術を盛り込むことでスケジュールが遅延するリスクを避けるため、「まずは既存のVM上でDockerを動かす」という、確実性を最優先した構成を提案しました。
――ビジネスの期限に合わせた、確実な解決策を選んだのですね。
浜崎:そうです。VM上でDocker化するだけでも、デプロイフローは大幅に改善できます。
また、移行後にトラブルが起きてもすぐに戻せるよう、新環境と旧環境を並行稼働させ、アプリケーションのコードには一切手を入れない方針を採りました。これにより、万が一の際も即座に旧環境へ切り戻せる安全性を確保しました。
――プロジェクトが進む中で、ミラーフィット様から見たDELTAの動きはいかがでしたか?
石毛:非常にスピーディで、安心感がありました。かつ、定例ミーティングの設定を提案してくれたり、情報共有を細かく行ってくれたりと、単なる作業代行ではなく「伴走」してくれている感覚が強かったです。

ミラーフィット株式会社 エンジニア 石毛完知様(リモートで参加されました)
浜崎:スケジュールがタイトだったので、コミュニケーションを密に取り、認識合わせを行うことが重要だと考えていました。そのため、毎週の定例会議で「今の進捗やゴールまでに必要なタスク」の共有を徹底しました。
また、アーキテクチャ改善後の運用は、ミラーフィット様が行うことになります。そのため、我々が抜けた後もしっかり運用できるよう、作業手順書やドキュメントの整備まで支援させていただきました。
石毛:ドキュメントもしっかり残していただいたおかげで、社内メンバーもいただいた基盤を理解して使いこなせています。品質も問題なく、以前よりリリース頻度も上がりました。
――プロジェクト終盤には、ユーザー増加に伴うパフォーマンス低下が起きたと伺いました。
浜崎:店舗ユーザーの増加時期が、ちょうどプロジェクトの推進時期と重なっていました。その際、システムの一部でパフォーマンス劣化が見られたため、原因を調査したうえで、データベースのスペック不足とメモリ制限がボトルネックになっていることを特定し、対応しました。
舛永:あの時は本当に助かりました。ユーザー影響がダイレクトに出ていましたが、原因が何なのかわからない。その状況の中、的確に「データベースの設定を見直しましょう」とアドバイスをいただき、迅速に解決できました。自分たちだけでは原因特定に相当な時間がかかっていたと思います。
「依頼の先にある本当の課題を見定めて提案する」ことがDELTAのポリシー
――プロジェクトを終えて、どのような成果が得られましたか?
浜崎:一番の課題だった「不安定なインフラ」は解消されました。また、GitHub Actionsを導入したことで、ステージング環境へは自動デプロイ、本番環境へもボタン一つでデプロイが完了するようになり、作業時間も大幅に短縮されました。
石毛:現場の負担減は凄まじいですね。以前はトラブル対応に追われていた営業メンバーが、「システムが落ち着いたので、今は安心して眠れます」と言っていたのが印象的でした。
浜崎:ありがとうございます。次のステップとしては、VMからCloud Runへ移行し、インフラ構成をコードで管理(IaC化)することを目指しています。そうすれば、コマンド一つで全く同じ環境をすぐに立ち上げることができるようになります。今回はそこへの第一歩として、まずはDocker化という土台を固めることができました。
舛永:経営的な視点で見ても、非常に良い投資でした。インフラの不安を抱えたまま店舗拡大を進めるのは、大きな事業リスクです。懸念が払拭され、事業成長に集中できる体制が整いました。費用対効果の高い成果を得られたと感じています。今後は「MIRROR FIT.」の事業でもコスト最適化を進めたいと考えているので、そちらもぜひ相談したいですね。

株式会社DELTA エンジニアチーム 浜崎春哉
――最後に浜崎さんから、記事の読者に向けてDELTAのサービスの強みをお願いします。
浜崎:DELTAのポリシーとして、「言われたことだけをやるのではなく、依頼の先にある本当の課題を見定めて提案する」ことを重視しています。今回で言えば、当初は「IaCまでやりたい」というご要望もあったのですが、リスクやスケジュールを考慮して「まずはここまで確実にやりましょう」と提案させていただきました。そうしたお客様への寄り添い方が強みだと思っています。
また、DELTAのメンバーはほぼ全員がエンジニアリングだけではなく、プロジェクトマネジメント的なスキルを持っています。ゴールを見据えて、今何をすべきか、ステークホルダーの方々とどのようなコミュニケーションを取るべきかを判断できます。そして、リスクを管理し、確実にデリバリーまで完遂することをポリシーとしています。今回のミラーフィット様との取り組みでも、それが実現できたと思っています。
アーキテクチャ改善はDELTAにお任せください
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